家づくりのこと

構造設計のイロハ【地震への心構え】

こんにちは、醤油です。

今回は「地震」をテーマに建物を解説していきます。

小さな地震も含めると日本ではほぼ毎日と言っていいほど、全国のどこかでは地震が発生しています。

それもそのはず、世界で発生する地震の約2割が日本で起きているそうなのです!

普段、日本で暮らしていると地震が起こることにあまり疑問を持たれないかもしれませんが

日本にいる以上、

自身が暮らしている家や仕事をしている事務所などが地震に対してどのような考えで設計されているかを把握し、

地震に対する備えや心構えをしっかりと持っておきたいですね。

そもそも地震とは、地殻変動によりストレスを受けた地盤(プレート)がずれることで揺れが発生する現象のことをいいます。

その揺れを工学的には「地震波」という振動現象として扱いますが、その地震波をそのまま、設計に組み込もうとすると

高度な知識や解析が必要となってしまうので、一般的には「震度」という単位にて評価しています。

テレビなどの地震速報で目にするあの「震度」ですね。

余談ですが60mを超える超高層建築など、高度な解析が求められる設計には地震波を用いた手法が使われています。

 

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、実際の建物を設計する際にどのくらいの震度を考えているかというと

建築基準法に基づき、「震度5強程度で損傷しないこと、震度6強〜震度7で倒壊しないこと」を目指し設計します。

(厳密な意味では少し語弊がありますが、実感がわきやすいように表現しています。)

さらに噛み砕くと、下記のようなイメージです。

①損傷しない→【地震後も建物を継続的に使用できる】

②倒壊しない→【建物の構造部材は部分的に壊れる(継続使用は難しい)が、人命を守る】

しかし、現状では施主と設計者の間にはこの②の考え方において、相違がある場合も多いのではないかと思っています。

もし、ご自身の家に震度7の大地震がきた際には

設計者は「倒壊せずに、人命が守られてよかった」と思うのですが、

施主は「命は助かったが、家には住めなくなってしまった。ちゃんと設計されていたのか?」などと思うかもしれません。

建物は決して安い買い物ではありませんので、なぜ大地震後でも使えるような基準になっていないんだという気持ちは十分わかります。

建築基準法上、そのようになっていない理由としては、震度7でも壊れないを建物を法律という強制力をもって、

要求してしまうとコストや資材がかなり増加してしまうためだと考えられます。

 

では大地震の後に継続して使用できる設計はできないのかというと、そうではありません。

耐震等級2又は3を取得、免震構造、制振構造などを採用することで、大地震後の被害を抑え、継続使用を目指すことが可能です。

 

確率の差はありますが、ご自身がいる場所に大地震が発生する可能性はゼロではありません。

大地震が起こった後のことをイメージし、今一度、ハード面もソフト面も見直してみてはいかがでしょうか?

良き、建築ライフを!

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