家づくりのこと

構造設計のイロハ【エキスパンションジョイントは付かず離れず】

こんにちは、醤油です。

今回のテーマはエキスパンションジョイント(以下、Exp.J)についてです。

初めて聞く方も多いかもしれませんが、人知れず建物を影から支えてくれている部材になります。

ジョイントという名の通り、接合部のことを指しており、建物同士を繋いでいる箇所になります!

しかし、繋いでいるのは空間的にのみで、構造部材は全て、Exp.Jを境にすべて縁が切れています。

なんで構造的には繋がないの?どうして最初から繋げておかないの?と疑問を持たれる方もいるかもしれません。

建物同士をExp.Jにて繋ぐ必要がある場合は主に下記の通りです。

1.既存の建物に増築し、一体で使う場合

2.複雑な形状や構造形式の違いを解消する場合

3.建物の収縮による影響を小さくするため

1.の既存の建物に増築し、一体で使う場合、既存棟側と増築棟側では空間的には行き来できたり、

空間的には一体になっている方が使いやすいですよね。

だからと言って、構造的に既存棟側と繋げてしまうと、既存棟側も含めた解析が必要になったり、

古い建物だと、調査し図面をおこし直したり、現在の建築基準法に適合するように補強を加えたりする必要があります。

ですが、そのような手順を踏むと、設計費用や工事費用はどんどんUPしてしまいます。

そのため、Exp.Jにて繋げて、構造体としては各々で独立して成り立たせるという考え方で増築をすることが多いです。

また、2.の新築の場合でも、建物の形状が複雑であったり、異なる構造形式が交わる場合(ブレース構造とラーメン構造など)は

簡単な構造体になるように縁切りをしたりもします。例えば、ブレース構造とラーメン構造では、地震などの水平力が作用した際には

建物の挙動が異なります。挙動が異なる構造体を一緒に設計するのは複雑であり、設計できたとしても実際に地震が発生したら、予期せぬ被害が

出る恐れがあります。

3.建物の建物の収縮というのは主に温度変化による収縮です。普段はあまり気にならないかもしれませんが

建物も気温や日射の影響などにより伸びたり縮んだりを繰り返しています!

収縮量が多いと外壁にヒビが入ったり、仕上げ材が破れたり、最悪の場合、構造部材が壊れてしまう場合もあります。

目に見えませんが、意外と温度変化は馬鹿になりません。

そのためExp.Jを設けることで、収縮量を減らし、建物を健全に保っているのです。

何気ない景色のなかにも意味があったりします!

エキスパンションジョイントを見かけたら、なぜなんだろうと一度考えみるのも面白いかもしれません!

良き、建築ライフを!

-家づくりのこと
-

© 2024 喫茶アリノス