こんにちは、醤油です。
今回のテーマはずばり、スパンをとばすです!
設計者の間ではよくスパンをとばすという表現をしますが、
いかに梁のスパンを長くし、梁を支える部材をへらすことができるかを意味します。
スパンを長くできれば、柱が少なくなり、空間の自由度がUPします。
ではなぜ、自由度がUPするのに
どの建物でもスパンをとばし、柱を少なくしないのかと疑問に思われますよね。
理由は様々ですが、
①スパンをスパンをとばすことが苦手な構造形式
②梁の断面が大きくなりすぎて、建物の計画に支障がでる
(天井裏に梁が収まらない、階高が高くなってしまうなど)
③梁の断面が特注となり、工事金額が高くなる
などの理由により大スパンができないと考えられます。
①に理由に対して、逆に最もスパンをとばすのが得意な構造形式は「鉄骨造」になります、
鉄骨は材料自体の比重は、78.5とコンクリートの23に比べて重いですが、
高い材料強度と効率的な断面とすることで、スパンをとばすことに適した断面となります。
鉄骨造の梁には、通常H形鋼という断面の部材が用いられます。
アルファベットのHを90度回転させた、向きで使われることが多いです。
このような断面にすることで、できるだけ使う材料の量を減らしつつ、耐力の高い断面となるよう工夫されています。
では、その鉄骨造でどうすれば、できるだけスパンをとばすことができるかをお話ししようと思います。
まずは梁せいを大きくするです。
H形鋼は梁せい、梁幅、板厚が主な構成要素となっており、スパンをとばす時に最も重要な要素は「梁せい」になります。
スパンをとばせば、当然それに応じて、梁もたわみやくなるので、同じスパンの梁であれば、
通常は梁せいが大きいほど、たわみ量は小さくてすみます。
次にむくりをつけるです。
たわみが出るのであれば、そのたわむ量をみこして、あらかじめ梁にむくりをつけておこうという考え方です。
たわむ方向と逆向きにむくりをつけておけば、たわみ量はプラスマイナスゼロとできます。
しかし、むくりをつけるのは簡単ではないことやむくりをつけすぎるとかえって支障が出てしまうため、
補助的な方法として用いる方が良いかもしれません。
その他には、H形鋼ではなく、梁材にトラス梁や張弦梁のような組立材を使用する方法です。
H形鋼は主に、鉄鋼メーカーが圧延(製造)している規格のなから選ぶこととなるため、梁せいにも制限があります。
(最大でも1200mm)
そのため、H形鋼では対応できないようなスパンをとばす時は、よく使用されます。
組立材のメリットは、規格品を組み合わせることによって、梁せいをいくらでも大きくすることができる点です。
今回は鉄骨造のみに着目しましたが、近年では木造やRC造も大スパンの断面が採用されています。
スパン表などを用いずに構造計算をすることで、より要求に応じた空間を作ることが可能になります!
大スパン化を諦める前に一度、構造設計者に相談し、メリットとデメリットを確認してみましょう。
良き、建築ライフを!